古い小説と食べる描写が好き

にとほんが=(ニートが千冊読書を目指すブログ。)P+D BOOKS とkindle、私小説好き。

おいしいご飯のロマン「古川ロッパ日記」昭和初期のグルメ

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突然ですが、あなたは美味しいごはんは好きですか?

―――(耳に手を当てて傾聴のポーズ)

ほうほう、好きですか。私もです。現代は昭和初期よりずっと衛生的な環境で過ごせていると思うし、とってもありがたいこと。

……しかしながらなんか…ロマンがなくないか?ブログ主は大正時代~昭和を生きたことがないので妄想でしかないが、小説で読む限り、昔の食べ物は10割増しで美味しそうに聞こえる。

さっそく本題だ。古川ロッパ1903年生まれ。森茉莉と同じだね!)は東京都出身のコメディアン。喜劇ってなに?そもそも劇とかほぼ見たこと無いよ…。な平成生まれのブログ主が何故この人を知ったかといえば、色川武大のエッセイに古川ロッパの日記が抜粋されてたからだ。「中華屋でとった弁当がゴザってる」みたいな表現で???になり、紆余曲折あってkindleで「古川ロッパ昭和日記」なるものが無料で読めることを知った。ムショク、ムリョウダイスキ。昭和日記は01~06まであり一冊でかなりボリュームがある。で、今私は1巻を読んでいる最中だ。ガチの日記なので日々あったこと、外食のこと、観客にウケる劇についてつらつら悩んで、稽古して、台本書いたり…かなりワーカーホリックだったことがうかがえる。

 人様の日記を読むのは西村賢太の日記が文庫化されたやつ以来だ。食べる描写が好きであれば彼の日記もおもしろいと思う。喜多方ラーメンにあらぬ方向性の疑惑を感じる可能性はあるけども。

 一世紀以上前の人が何を食らい、美味しと思って食べていたのが非常に興味がある。そんな人には古川ロッパの昭和日記がマッチする。

 たとえば、ハゲ天。急に悪口?!と口をぽっかり開けてしまいそうだが、昭和3年創業と検索したら出てきた。めっちゃ老舗。この店の存在を私は全く知らなかった。百貨店の地下とかにあるタイプのお高い店なのかな~?ロッパはこの「ハゲ天」でハシラのかき上げを食べたようだ。ホタテの貝柱のことだろうか。貝類をあまり食べないので想像しずらいが、人気コメディアンとして働く合間に外食や出前をとっていたらしい。

 この食事の描写がたまらなく楽しい。「大阪屋のハラシライスとポタージュの出前をとった」みたいな簡素な文ではあるが、日記なのでこんなもんだろう。

 この大阪屋というのは洋食屋なのだろうか? 結構頻繁にこの店から出前を取っていた様子。未読だが「ロッパ食談」なる本が河出文庫から出ていた。色川武大もロッパはかなりグルメみたいなことをエッセイで語っていたし、この時代のうまいものを貪り食っていたんだろうなァ。(ブログ主はこの表現最近気に入っています。あんまり上品な表現じゃないけどほんとうに美味しいものを前にすると理性なんかなくなるよNE)

 ちなみにロッパの顔写真を検索する前は外国人だと思っていた。「エノケン」も知らなかったので海外の俳優か何かだと思ってた。色川武大の本を読んだことで、昭和初期の知識がちょっぴり増えた。

 昭和ってユーチューブもなければスマホもないし、マジで皆なにしてたんだ。

「喜劇」というのは庶民の娯楽らしい。今はスマホやPCがあるから家を出なくても劇のDVDや動画を見ることができる。……今ってマジで出歩かなくとも娯楽が簡単に手に入る。引きKOMORIにとっては至極ありがたいのだが…どうだろう。

リアルな日記、食べ物の描写、労働。そんな刺さる人には刺さるロッパの日記はkindleで手軽に読める。食事の描写が出てくるまで爆速で読み進めている。

 ロッパの日記でいまのところ最も気になるのは「ハゲ天」だ。いつか食べに行きたい。それまでに収入を得なければと思う今日この頃であった……。